Google AppSheetとMicrosoft Power Appsを比較してみた

はじめに
この記事の筆者である私は、ソフトウェアエンジニアリングの学位を取得後、ベトナム最大のIT企業の一つにてテスターとしてキャリアをスタートいたしました。
主にマッチングサービスに関するビジネス分析、単体テスト、結合テスト、総合テストを一通り経験いたしました。
2017年にベトナムより来日し、2018年に株式会社ハイペリオンに入社いたしました。
その後、運輸管理システム開発プロジェクトおよび品質保証計画プロジェクトのメンバーとして参画するなど、品質管理のエキスパートを目指し経験を重ねております。
今回は、Google AppSheetとMicrosoft Power Appsの機能&特徴とAI性能などを比較しました。
アプリ作成プラットフォームの紹介
Google AppSheetとは

AppSheet(アップシート)はGoogleが提供するノーコード開発プラットフォーム。
AppSheetで、プログラミングの知識やスキルがなくても、簡単にアプリを作成できる。(複雑なアプリを作成する要望がある場合、開発ロジックとAppSheet内用の数式の知識は必要。)
Google AppSheet Script、Google Workspaceなどの他のGoogle のサービスと連携できる。
Microsoft Power Appsとは

Power Apps(パワー・アップス)は、Microsoftが企業に提供、組織内のユーザーが、複雑なコーディングが不要で、業務に特化したアプリケーションを短時間で開発する可能、アプリ、サービス、コネクタ、およびデータプラットフォームの包括的なスイート。
Power Appsを活用することで、基盤となるMicrosoft Dataverse(データバース)、またはその他の多様なデータソースに格納されたデータと連携し、ビジネスニーズに合わせたカスタムアプリを迅速に構築できる。
Power Automate(ワークフロー自動化ため)、Power BI(データ分析)などの他のPower Platformのサービスを結合し、統合アプリソリューション作成できる。
SharePoint、Dynamic 365、Teams、Azure Functionsなどの他のMicrosoft のサービスと連携できる。
AppSheet vs Power Apps概要と実践:AIサポートで超速アプリ開発を体験!
AppSheetとPower Appsの概要と実践を理解するため、各プラットフォームでAIのサポートで簡単なアプリを作成してみた。
Google AppSheetに統合されたAIでアプリ作成
Geminiでアプリ作成を体験

AppSheetに統合されたGeminiの入力ボックスに以下の要求を記入し、AIの案内に従ってアプリを作成する。
店舗の売上を追跡するためのシンプルなアプリを作りたいと思っています。在庫リスト、商品追加、商品の詳細情報の3つの画面が必要です。
作成されたアプリのプレビュー
アプリは超速に構築でき、要件定義に対して概ね満足のいくものだったが、データの調整が必要であり、機能がシンプルだったり、カスタマイズ性にも制約があると感じました。
※ ホーム画面(AIで構築されたアプリの初期設定ではホーム画面はなく、デフォルトは一覧画面になった)

※ 商品一覧画面

※ 商品詳細画面

※ 商品追加画面

Microsoft Power Appsに統合されたAIでアプリ作成
Copilotでアプリ作成を体験

Power Appsに統合されたCopilotの入力ボックスに以下の要求を記入し、AIの案内に従ってアプリを作成する。
店舗の売上を追跡するためのシンプルなアプリを作りたいと思っています。在庫リスト、商品追加、商品の詳細情報の3つの画面が必要です。
作成されたアプリのプレビュー
サンプルデータの置き換えや画像の追加などの調整は必要だが、要件定義に基づき、店舗、在庫、商品などのカテゴリー別に管理画面を構築できることで、アプリの機能はほぼ完璧に仕上がり、高いカスタマイズ性も備えている。
※ ホーム画面

※ 商品一覧&詳細画面

※ 商品追加画面

Google AppSheetとMicrosoft Power Appsの比較
ここでは、AppSheetとPower Appsの機能&特徴とAI性能などを比較します。
Power AppsはAppSheetより高いカスタマイズ性がある一方で、開発の習得にはより大きなハードルがあるという印象を受けました。
Google AppSheet | Microsoft Power Apps | |
基本情報 | ||
タイプ | ノーコード | ローコード |
市場分野/ 使用対象 | 個人用、小規模企業、中小企業 Google Workspaceを利用している企業にオススメ | 中小企業、大企業 Microsoft 365・Microsoft SharePointを利用している企業にオススメ |
料金プラン | ユーザー課金型 ※Publisher Proプランはアプリ課金型 | アプリ&ユーザー課金型 |
基本プラン価格 (税抜金額) | Coreプラン 1040円/ユーザー/月 (1 開発&使用の両方のアカウント) | Premium プラン 2998円/ユーザー/月 (1 開発&使用の両方のアカウント) |
ライセンス | Google Workspaceライセンスに、AppSheet Coreライセンスが含まれて、 別途料金不要、直ぐに使える ※個々のユーザーは、Googleアカウントを使って、AppSheet Starterライセンス またはCoreライセンスを簡単に購入できる | Microsoft 365ライセンスに、無料Power Apps Developerプランが含まれるが、Dataverseなどのプレミアム機能を使うには、別途有料Premiumライセンスが必要 |
無料プラン | 無料プランあり アプリ:未公開、私用アプリのみ アプリ数量:無制限 最大テストユーザー数: 10名 機能:制限あり | 無料プランあり アプリ:未公開アプリのみ アプリ数量:無制限 対象:Microsoftサービスサブスクリプションの組織&学校のみ 機能:制限あり |
機能&特徴 | ||
メイン利点 | 1アプリ様々端末 自動同期 使いやすさ、互換性、柔軟性 ロールベースの権限 テンプレート/サンプル アプリが多い コラボレーション ツール 無料プランでも、環境構成が単純 | カスタマイズ可能性が高い 直感的なインターフェース、堅牢なアプリ 高い生産性 スケーラビリティ 連携機能のライブラリ データ統合の能力性 |
メイン欠点 | クエリ、数式のベーシック開発知識は必要 カスタマイズしづらい部分あり ドラッグド&ロップの開発GUIなし | コードの再利用性が低い 同じアプリが同時に編集できない デバッグしづらい 環境構成が複雑 処理返事の遅延が大きい |
開発メソッド | Data-driven | Model-driven |
開発難易度 | 低 | 中~高 |
開発スピード | 速 | 中~遅 |
内部DB | AppSheet Database | Dataverse |
外部データ統合 | Google Sheets Google Forms Microsoft Excel (Microsoft 365 and SharePoint) Google Calendar Airtable Smartsheet ※クラウドデータベース、API、SaaSサービス、エンタープライズデータサービスはEnterprise Plusプラン(別途料金)が必要 | Microsoft Excel (Microsoft 365 and SharePoint) Microsoft Lists Microsoft Dynamics Google Sheets SQL Server Oracle Database MySQL ODBC |
エディタのGUI | 直感的、シンプル | 多機能、本格的 |
機能拡張性 | 普通 | 高 |
カスタム性 | 低 アプリは迅速に作成できるものの、既存のフォーマットを使用すると、その後のカスタマイズには制約が生じる (用意された選択肢の中での調整が必要) | 高 調整に時間はかかるかもしれないが、UXやロジックなどを自由にカスタマイズできる (ドラッグ&ドロップでの操作も可能) |
同時編集可能 | 不可 | 不可 |
テンプレート | 目的別 | 業務プロセス別 |
AI性能 | ||
開発スピード | 速 | 速 |
使用難易度 | 低~中 | 中 |
完全性 | 中 | 中~高 |
モバイルアプリ | ||
アプリ実施環境 | 「AppSheet」アプリ通り実施 | 「Power Apps」アプリ通り実施 |
スタンドアロン アプリ公開可能 | 可能 ※Publisher Proプラン(別途料金)必要 | 可能(Wrapプロセス通り) ※Azure Blob Storageアカウント必要 |
サポート アプリストア | Google Play Store Apple App Store | Microsoft Store Google Play Store Apple App Store |
オフィシャル サポート | ||
ドキュメント | 簡単 | 難しい、時々混乱 |
コミュニティ | 強い、親切なコミュニティ 質問への迅速な回答 | IT部門向け、技術的な感覚あり 多くの参考資料でリンク切れが発生する |
まとめ
最低限のシンプルな機能を備えたアプリ開発であれば、Google AppSheetがより適しています。特に、複雑なロジックや特別なカスタマイズされたインターフェースが不要なシステムの場合、AppSheetを使うことで迅速に展開可能です。また、AppSheetには、様々な目的別にすぐに使えるテンプレートもあります。
一方で、Microsoft Power Appsは、強力なアプリ開発ツールです。Google AppSheetよりも高いカスタマイズ性を誇り、従来の開発ツールに比べて開発時間を短縮できるという利点があります。しかし、Power Appsの使い方を習得するにはある程度の時間が必要です。また、一般的によく利用される機能を実装する際にも、時間を要する場合があります。
本記事が、AppSheetとPower Appsの機能、それぞれの利点と欠点、さらには使用感について、皆様の理解を深める一助となれば幸いです。