Google AppSheet ライセンス ニーズに合った選び方のポイント

公開: 2025年10月31日
#ノーコード・ローコードツール

はじめに

筆者は、ソフトウェアエンジニアリングの学位を取得後、ベトナムの最大手IT企業でテスターとしてのキャリアをスタートいたしました。 主にマッチングサービスにおけるビジネス分析や、単体・結合・総合テストを一通り経験した後、2017年に来日。2018年からは株式会社ハイペリオンの一員として、運輸管理システムや品質保証計画プロジェクトに携わり、品質管理のエキスパートを目指して経験を重ねております。 Googleのサービスは多岐にわたり、ライセンス体系も複雑であるため、お客様にとって最適なものを選択するのは容易ではありません。そこで今回は、お客様のニーズに合ったAppSheetのライセンスを迷わず選ぶための重要なポイントを解説いたします。

Google AppSheetの紹介

Google AppSheetとは

Google AppSheetは、Google Cloudが提供するノーコード開発プラットフォーム
プログラミングスキルがない方でも、Googleスプレッドシートなどのデータソースを用いて、モバイル・ウェブアプリケーションを迅速に開発できる。
コーディングなしで、業務の自動化やカスタムアプリの作成を可能にする。
Googleサービス以外にも、SalesforceやMicrosoftのサービスなど、様々な外部サービスとの連携が可能。
(※基本的なアプリはノーコードで構築可能だが、条件分岐やデータ操作など処理がある複雑なアプリに組み込む場合は、開発ロジックとAppSheet特有の数式の知識は必要となる。)

Gemini for App Creationとは

Gemini for App Creationは、AppSheetの一部で、自然言語でビジネスプロセスを記述するだけで、アプリケーションをゼロから構築できる強力なツール。
初期データ構築の自動化機能により、アプリ開発の基盤となるデータスキーマ、テーブル、列の提案と作成をAIが支援する。

サービス申請フローの概要

AppSheetの申請手順は、ご利用対象者、Google Workspaceの利用状況、およびお客様のニーズによって異なります。つきましては、以下のフローチャートをご参照ください。(画像をクリックすると、PDF版をダウンロード(または表示)できます。)

ニーズに合ったライセンスを選ぶためのポイント

AppSheetのニーズに合ったライセンスを選ぶには、多くの要因を考慮する必要がある。
以下の情報を参考に、最適なライセンスを選択するために、以下の解説をご確認ください。

AppSheetが含まれるGoogle Workspaceライセンスについて

個人・組織が持っているGoogle Workspaceのライセンスには、AppSheetが含まれる場合がある。

ライセンス (※1)AppSheet StarterAppSheet CoreAppSheet Enterprise Plus (※2)Gemini for App Creation (※3)
 個人&中小企業向け
Google Workspace Business Starter  
Google Workspace Business Standard  
Google Workspace Business Plus  
Google Workspace Frontline Starter  
Google Workspace Frontline Standard  
Google Workspace Frontline Plus  
Google Workspace Essentials Starter    
 エンタープライズ向け
Google Workspace Enterprise Starter  
Google Workspace Enterprise Standard  
Google Workspace Enterprise Plus  
Google Workspace Enterprise Essentials    
Google Workspace Enterprise Essentials Plus  
 教育組織&非営利団体向け
Google Workspace Education Fundamentals    
Google Workspace Education Standard  
Google Workspace Education Plus  
Google Workspace Non-profits  

(※1) Google Workspaceサービス概要の2025年6月30日時点の最新版に基づいている情報になる。
(※2) AppSheet Enterprise StandardライセンスとAppSheet Enterprise Standard External Userライセンス、AppSheet Enterprise Plus External Userライセンスの販売は、2025年4月10日をもって終了し、購入できなくなった。
(※3) Gemini for App Creationは、有料のAppSheetライセンス(AppSheet Starter、AppSheet Core、AppSheet Publisher Pro、またはAppSheet Enterprise Plus)またはAppSheetが含まれるWorkspaceライセンスの一部として提供される。

サービス別ライセンスと機能の比較

 AppSheet Free (※1)AppSheet StarterAppSheet CoreAppSheet Enterprise PlusAppSheet User Pass (※2)
ライセンス タイプユーザーごとユーザーごとユーザーごとユーザーごとプールベース (※3)
料金 (※4)
ライセンスあたり、税抜
無料749円
ユーザー/月相当
1,499円
ユーザー/月相当
2,998円
ユーザー/月相当
749円
ユーザー/アプリ/月相当
機能基本機能のみ基本機能のみ高級機能(バーコードやオートメーションなど)あり高級機能(バーコードやオートメーションなど)ありAppSheet Enterprise Plusと同様
※アプリケーションのランタイム利用に限定され、AppSheetのエディター機能へのアクセス権はない
コネクタ (※5)基本コネクタ(Google Spreadsheet、Microsoft Excel(Office 365とSharePoint)、Google Driveなど)のみ基本コネクタ(Google Spreadsheet、Microsoft Excel(Office 365とSharePoint)、Google Driveなど)のみ基本コネクタ(Google Spreadsheet、Microsoft Excel(Office 365とSharePoint)、Google Driveなど)のみプレミアムコネクタ(AppSheet API、SQL Server、ODataなど)あり
オートメーション制限あり制限あり十分にサポート十分にサポート
AppSheet Database (※6)ありありありあり
Gemini for App Creation (※7)なしありありあり
Gemini in AppSheet Solutions (※8)なしなしなしあり
機械学習 (※9)なしなしなしあり
チーム コラボレーションなしなしなしあり
モニタリング制限あり基本機能基本機能Looker Studio連携あり
アプリ公開可能性不可可能可能可能
アプリの数量制限がない制限がない制限がない制限がないー (※10)

(※1) AppSheet Freeライセンスとは、個人利用プロトタイプ開発に用途が限定され、一部機能が制限された無料のライセンス
(※2) AppSheet User Passライセンスは、社内・社外を問わず、AppSheetライセンスを未所有のユーザー、またはCoreライセンスを持ちながらEnterprise Plusライセンスの機能が必要なユーザーに対し、組織のAppSheetアプリへのアクセスを可能にする共有ライセンス。このライセンスはプールとして機能するため、ユーザーは個別に割り当てなしに、必要に応じてAppSheet Core/Enterprise Plusアプリに柔軟にアクセスできる。ただし、利用はアプリケーションの実行(ランタイム利用)に限定され、AppSheetのエディター機能へのアクセス権は含まれない。
(※3) AppSheet User Passライセンスは、個別に割り当てるのではなく、組織全体で共有するプールとして購入される。対象のユーザーがアプリへのアクセス時に、その都度自動的にライセンスが消費される
(※4) 価格はGoogleによって変更される可能性があるため、参考情報としてご使用ください。
(※5) SharePointやOfficeサービスへのコネクタを使えるため、少なくとも、別途の基本的なOfficeライセンスも必要。また、サードパーティコネクタとAPI(例えば、PDFファイル作成)は、場合により、別途料金かかる。
(※6) 使用容量に制限があり、規定量を超過した場合は増量プラン(別途料金)が必要。(使用容量はライセンスにより異なる。)
(※7) 使用容量に制限がある。(基本は毎日5回で使用できるが、具体の使用容量はGeminiサブスクリプションプランにも依存する。)
(※8, 9) AI機能の利用には、AIクレジットが消費される。AIクレジットを追加すると別途料金が発生する。
(※10) AppSheet User Passライセンスは、特定のアプリに紐づかない。Google Workspace管理者がライセンスを購入すると、組織全体で共有されるプールとなる。その後、ユーザーがアプリにアクセスするたびに、ライセンスが自動的に消費される。

ライセンス選択のヒント

AppSheet Core

・ほとんどの社内用アプリにおいて、Google Workspaceに含むAppSheet Coreライセンスで十分に対応可能。

AppSheet User Pass

・外部ユーザーが組織のAppSheetアプリにアクセスするためには、AppSheet User PassライセンスまたはAppSheet Publisher Proライセンスのいずれかが必要。
・AppSheet User Passライセンスを展開する際、認証されていないアクセスは、たとえ同一人物であっても、アクセスごとにAppSheet User Passが1つ消費されため、認証アクセスを設定するのはオススメ。また、認証されていないアクセスを設定する場合、セキュリティ上の問題が発生する可能性がある。
・機密データを含まず、認証アクセス不要なレストランのメニューや公共イベントガイド、一般向けアンケートなどの様なアプリ、またアクセスが多数(10ユーザー以上)見込まれる場合、ユーザー数無制限で利用できるAppSheet Publisher Pro(税抜 749円/月)が、AppSheet User Passよりもコスト効率に優れている。

まとめ

本記事では、多岐にわたるGoogleのライセンスの中から、お客様のニーズに合ったAppSheetの最適なライセンスを選ぶためのポイントを解説いたしました。
各ライセンスの特徴と機能を理解することで、費用対効果の高い選択が可能になります。
さらに詳しい情報やご質問がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

関連項目&参考ソース

AppSheet の価格(英語版)
AppSheet サブスクリプションの選び方
AppSheet を無料で使用する
AppSheet の制限事項と既知の問題
組織で AppSheet を管理する
AppSheet ライセンスを管理する
AppSheet の外部ユーザーのライセンスについて
AppSheet User Pass で必要に応じてアプリへのアクセスを許可する
Google Workspace サービスの概要
Google Workspace の各エディションの比較
Google Workspace 向けの AppSheet を追加、設定する
Gemini AI 機能が Google Workspace サブスクリプションで利用可能に
Gemini in AppSheet を使用する
Gemini for App Creation を使用してアプリを作成する
Gemini in AppSheet ソリューションのクレジットと割り当てについて
Gemini の使用に関するクレジットを管理する

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