Microsoft Power Platform ライセンス ニーズに合った選び方のポイント

公開: 2025年9月12日
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はじめに

筆者は、ソフトウェアエンジニアリングの学位を取得後、ベトナムの最大手IT企業でテスターとしてのキャリアをスタートいたしました。

主にマッチングサービスにおけるビジネス分析や、単体・結合・総合テストを一通り経験した後、2017年に来日。2018年からは株式会社ハイペリオンの一員として、運輸管理システムや品質保証計画プロジェクトに携わり、品質管理のエキスパートを目指して経験を重ねております。

Microsoftは多岐にわたるサービスを様々なライセンスで提供しているため、最適なライセンスを選ぶことは容易ではありません。そこで今回は、お客様のニーズに合ったPower Platformのライセンスを選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。

サービス申請フローの概要

利用対象やMicrosoftサービスの利用状況、ニーズによって申請手順が異なるので、Power Appsを例に、以下の流れをご参照ください。

ニーズに合ったライセンスを選ぶためのポイント

ニーズに合ったライセンスを選ぶには、お持ちのMicrosoftサービスライセンス必要な機能利用人数など、多くの要因を考慮する必要がある。また、Dataverseや外部データベースを使用するかどうかも重要な要素となる。
以下の情報を参考に、最適なライセンスを選択するために、この後のセッションにご参加ください。

Power Platformが含まれるMicrosoftライセンス

個人・組織が持っているMicrosoftサービスのライセンスには、Power Platform が含まれる場合がある。

ライセンスPower Apps Basic (※1)Power Automate Basic (※1)Power Pages (※2)Power BI Pro (※3)
クラウド フローデスクトップ フロー
 個人&中小企業向け
Microsoft 365 Personal     
Microsoft 365 Family     
Microsoft 365 Business Basic   
Microsoft 365 Business Standard   
Microsoft 365 Business Premium  
Windows 11 Home    
Windows 11 Pro    
 エンタープライズ向け
Office 365 E1   
Office 365 E3   
Office 365 E5  
Microsoft 365 E3  
Microsoft 365 E5 
Office 365 F3   
Microsoft 365 F1     
Microsoft 365 F3  
Windows Enterprise E3    
Windows Enterprise E5    
 教育組織向け
Office 365 A1   
Office 365 A3   
Office 365 A5  
Microsoft 365 A1   
Microsoft 365 A3  
Microsoft 365 A5 
Windows Education A3    
Windows Education A5    
 政府&軍事組織向け
Office 365 G3   
Office 365 G5  
Microsoft 365 G3  
Microsoft 365 G5 
 Dynamics 365
Dynamics 365 Business Central Essentials  
Dynamics 365 Business Central Premium 
Dynamics 365 Business Central Team Members   
Dynamics 365 Sales Professional   
Dynamics 365 Sales Enterprise 
Dynamics 365 Sales Premium 
Dynamics 365 Customer Insights  
Dynamics 365 Customer Service Professional   
Dynamics 365 Customer Service Enterprise 
Dynamics 365 Customer Service Premium 
Dynamics 365 Contact Center 
Dynamics 365 Field Service Enterprise 
Dynamics 365 Supply Chain Management 
Dynamics 365 Supply Chain Management Premium 
Dynamics 365 Finance  
Dynamics 365 Finance Premium 
Dynamics 365 Project Operations 
Dynamics 365 Human Resources 
Dynamics 365 Commerce 
Dynamics 365 Intelligent Order Management 
Dynamics 365 Team Members   
Dynamics 365 Operations – Activity   
Dynamics 365 Operations – Device   
Dynamics 365 Operations – Order Lines   
 その他
Power Apps Basic (※4)   
Power Apps Developer (※4)   
Power Apps Premium (※4)   
Power Apps Per App (※4)   

(※1) Basicライセンスでは、ユーザーはMicrosoft 365やDynamics 365といったサービスのコンテキストで、Power Apps、Power Automateの機能を利用する権限を取得する。
(※2) Power Pagesの利用権限は、特定のDynamics 365ライセンスに含まれて、別途Power Pagesライセンスは不要。ただし、この権限はDynamics 365アプリケーションと同一環境に紐づけられたウェブサイトに限定されるため注意が必要。
(※3) Office 365 A5とMicrosoft 365 A5には、教職員向けのPower BI Proライセンスが含まれている。一方、学生は機能が制限されたPower BIの無料版が付与されるのが一般的。
(※4) Power Appsライセンスをお持ちの場合、追加ライセンスなしで、アプリ内でPower Automateの制限あり、クラウド フロー(DPA)と標準コネクタのみサポートの機能を利用できる。

サービス別ライセンスと機能の比較

Power Apps

プランPower Apps Basic (※1)Power Apps Developer (※2)Power Apps Premium
(旧:Power Apps Per User)
Power Apps Per Apps
ライセンス タイプユーザーごとユーザーごとユーザーごと指定されたアプリごとに、ユーザーごと
料金 (※3)
ライセンスあたり、税抜

※Microsoftの組織ライセンスに含む、別途料金が不要
無料2,998円
ユーザー/月相当
749円
ユーザー/アプリ/月相当
機能&コネクタ (※4)基本機能とコネクタ(SharePoint、Excel、OneDrive、Google Driveなど)のみ基本機能とコネクタ(SharePoint、Excel、OneDrive、Google Driveなど)のみプレミアム機能とコネクタ(Dataverse、SQL Server、Salesforce、DB2など)があるPower Apps Premiumと同様
※アプリの数量のみ制限がある
Dataverseのサポート (※5)なし (※6)あり (※7)あり
AI Builderのサポート (※8)なし (※9)なしあり
環境のサポートOffice 365と同じテナントと環境を利用するが、制限がある最大3開発環境、90日間使用しないと自動的に削除される十分にサポートされる
アプリ公開可能性組織内に可能不可可能
アプリの数量制限がない制限がない制限がない指定されたアプリのみ (※10)

(※1) Power Apps Basicプランは、ユーザーはMicrosoft 365やDynamics 365といったサービスの範囲内で、機能が制限されたPower Appsを利用できる。
(※2) Power Apps Developerプランは、Power AppsやPower Automateの構築、テスト、学習を目的、本番環境へのデプロイには対応しておらず、あくまでも開発とテストに特化している。Power Apps Developerを申請するためにMicrosoft 365、Dynamics 365サービスライセンスを保持している組織のメンバーである必要。
(※3) 価格はMicrosoftによって変更される可能性があるため、参考情報としてご使用ください。Power Apps開発者プランを申し込むには、Power Appsに適したMicrosoftライセンスを保持している組織のメンバーである必要
(※4) SharePointやOfficeサービスへのコネクタを使えるため、少なくとも、別途の基本的なOfficeライセンスも必要。また、サードパーティコネクタとAPI(例えば、PDFファイル作成)は、場合により、別途料金かかる。
(※5) 使用容量に制限があり、規定量を超過した場合は増量プラン(別途料金)が必要。
(※6) Teamsを含むOfficeライセンスではDataverse for Teamsがサポートされるが、Dataverseの利用機能は非常に限定的、主にMicrosoft Teams内での使用を目的としている。
(※7) Dataverseの利用機能は制限がある。
(※8) AI機能の利用には、AIクレジットが消費される。AIクレジットを追加すると別途料金が発生する。また、毎月利用できるAIクレジットには上限がある。
(※9) Teamsを含むOfficeライセンスではCopilot for Teamsが利用できるが、これは主にMicrosoft 365とMicrosoft Teams内での使用を目的としているため、AI Builder機能が含まない。
(※10) Power Apps Per Appプランは、同じアプリであっても、異なる環境へリリースする際は、それぞれが個別のアプリとしてカウントされる。つまり、各環境のアプリには個別のユーザー設定が必要になり、それに伴いアプリごとユーザーごとの個別のPower Apps Per Appライセンスを購入する必要が生じる。

Power Automate

 Power Automate Basic (※1)Power Automate PremiumPower Automate ProcessPower Automate Hosted Process
ライセンス タイプユーザーごとユーザーごとボットごと§ボットごと§
料金 (※2)
ライセンスあたり、税抜

※Microsoftの組織ライセンスに含む、別途料金が不要
2,248円
ユーザー/月相当
22,488円
ボット/月相当
32,233円
ボット/月相当
クラウド フロー(DPA) (※3)ありありありあり
アテンド型デスクトップ フロー(RPA) (※4)なし (※5)ありなしなし
非アテンド型デスクトップ フロー(RPA)なしなしありあり
機能&コネクタ (※6)基本機能とコネクタ(SharePoint、Excel、OneDrive、Google Driveなど)のみプレミアム機能とコネクタ(Dataverse、SQL Server、Salesforce、DB2など)があるプレミアム機能とコネクタ(Dataverse、SQL Server、Salesforce、DB2など)があるプレミアム機能とコネクタ(Dataverse、SQL Server、Salesforce、DB2など)がある
Dataverseのサポート (※7)なし (※8,9)ありありあり
AI Builderのサポート (※10)なし (※11)ありありあり
環境のサポートOffice 365(またはPower Appsアプリ)と同じ環境を利用するが、制限があるマネージド環境ありマネージド環境なしマネージド環境なし
Microsoft ホステッド仮想マシンなしなしなしあり
プロセスとタスク マイニング (※12)なしありなしなし

(※1) Power Automate Basicプランは、ユーザーはMicrosoft 365やDynamics 365といったサービスの範囲内で、機能が制限されたPower Automateを利用できる。
(※2) 価格はMicrosoftによって変更される可能性があるため、参考情報としてご使用ください。
§ ボットはマシンに割り当てられ、一度に1 つの非アテンド型デスクトップ フロー実行を行える。マシン上でデスクトップ フロー実行を並列で行うには、複数のボットが必要。
(※3) サービス制限内。
(※4) デスクトップ フローのオーサリング、ボットのオーケストレーションと管理が含まれている。
(※5) お持ちの他のMicrosoftサービスライセンスによっては、デスクトップフローが含まれる場合があるが、利用機能はサービスのコンテキストに制限される。
(※6) SharePointやOfficeサービスへのコネクタを使えるため、少なくとも、別途の基本的なOfficeライセンスも必要。また、サードパーティコネクタとAPI(例えば、PDFファイル作成)は、場合により、別途料金かかる。
(※7) 使用容量に制限があり、規定量を超過した場合は増量プラン(別途料金)が必要。
(※8) Teamsを含むOfficeライセンスではDataverse for Teamsがサポートされるが、Dataverseの利用機能は非常に限定的、主にTeams内での使用を目的としている。
(※9) Power Apps PremiumまたはPower Apps Per Appライセンスをお持ちの場合、アプリ内のDataverseデータと連携可能。
(※10) AI機能の利用には、AIクレジットが消費される。AIクレジットを追加すると別途料金が発生する。また、毎月利用できるAIクレジットには上限がある。
(※11) Teamsを含むOfficeライセンスではCopilot for Teamsが利用できるが、これは主にMicrosoft 365とMicrosoft Teams内での使用を目的としているため、AI Builder機能が含まない。
(※12) Power Automateのプロセスマイニングは、システムログを分析してビジネスプロセスの全体像を把握し、ボトルネックを特定する。一方、タスクマイニングは、ユーザーの操作(マウスクリックやキー入力など)を記録し、特定のタスクにおける自動化の機会を見つけ出すのに役立つ。これらはプロセスアドバイザーと連携し、マクロ(プロセス)とミクロ(タスク)の両方の視点からワークフローを理解・最適化するために使われる。

Power BI

 Power BI Free (※1)Power BI ProPower BI Premium Per UserPower BI Premium Per Capacity (※2)
ライセンス タイプユーザーごとユーザーごとユーザーごと利用量による
料金 (※3)
ライセンスあたり、税抜
無料2,098円
ユーザー/月相当
3,598円
ユーザー/月相当
変動制
レポート作成あり (※4)ありありあり
レポート公開(共有・コラボレーション)なしありありあり
高度なAIなしなしありあり
高度なデータフローなしなしありあり
高度なデータマートなしなしありあり
XMLA エンドポイントの読み取り/書き込み (※5)なしなしありあり
ネイティブ ストレージ (※6)なしありありあり
Office&SharePointコネクター (※7)ありありありあり
Dataverseコネクター (※8)ありありありあり
データのセキュリティと暗号化ありありありあり

(※1) Power BI Freeライセンスは、Microsoft Fabricの無料アカウントに含まれている。お持ちのMicrosoftサービスのライセンにかかわらず、無料で申請できる。
(※2) Power BI Premium Per Capacityでは、ユーザーごとの有料ライセンスなしでの Power BIコンテンツを使用できる。
(※3) 価格はMicrosoftによって変更される可能性があるため、参考情報としてご使用ください。
(※4) Power BI Freeライセンスをお持ちの場合、ユーザーがPower BI Desktop (Power BI 向けのデータ探索・レポート作成の体験ツール、無料でダウンロード可能)を使用し、自分用のレポートとダッシュボードを作成できる。(チーム共有と協力作成はできない。)
(※5) XMLA(XML for Analysis)エンドポイントとは、Power BIのセマンティックモデルに対する高度なデータ管理を可能にする機能、SQL Server Management Studio(SSMS)などの外部ツールを使用し、増分更新のパーティション管理したり、TMSL(Tabular Model Scripting Language)やTOM(Tabular Object Model)を用いた更新の制御したり、メタデータのみをデプロイしたりできる。これらの機能により、より詳細かつ柔軟な方法でセマンティックモデルを管理できる。
(※6) Power BIデータ セットのみを格納するため。
(※7) SharePointやOfficeサービスへのコネクタを使えるため、少なくとも、別途の基本的なOfficeライセンスも必要。
(※8) Dataverseへのコネクタがあるが、Dataverseを使用するには、有料のPower AppsまたはPower Automateライセンス、あるいはDataverse機能が含まれるMicrosoft 365、Dynamics 365サービスライセンスが必要。

Power Pages

 Power BI 認証済みユーザーPower BI 匿名ユーザー
ライセンス タイプウェブサイトごとウェブサイトごと
料金 (※1)
ライセンスあたり、税抜
29,985円
100 ユーザー/サイト/月相当
11,244円
500 ユーザー/サイト/月相当
ブランド化サイトあり₌あり
テンプレートありあり
Dataverse接続ありあり
認証アクセスありなし
コンテンツ配信ネットワークありあり

(※1) 価格はMicrosoftによって変更される可能性があるため、参考情報としてご使用ください。

ライセンス選択のヒント

Power Apps

・利用する予定アプリが3つ以下のユーザーには、Power Apps Per Appライセンスが安い。逆に、利用するアプリが多いユーザーには、Power Apps Premiumライセンスの購入をオススメ
・社外ユーザーは通常アクセスするアプリの数が少ないため、Power Apps Per Appライセンスが適している

Power Automate

・ほとんどのアプリ処理において、Power Automate Freeライセンスで十分に対応可能、Power Automate Premiumライセンスは不要

まとめ

本記事では、多岐にわたるMicrosoftのサービスの中から、Power Platformの最適なライセンスを選ぶためのポイントを解説しました。
まず、ライセンス選定の第一歩として、お客様のニーズを明確にすることが重要です。必要な機能、利用人数、既存のMicrosoftサービスの利用状況などを考慮することで、無駄なコストを抑え、最も適したライセンスを見つけることができます。
Microsoftが提供するライセンスは多種多様ですが、それぞれのライセンスが持つ特徴と機能を理解することで、最適な選択が可能となります。
ご質問やさらに詳しい情報が必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。

※本記事は、2025年5月にMicrosoftが実施した、新しいPower Platform管理センターのGUI変更オフィシャルガイドの改訂内容を反映しています。

関連項目&参考ソース

Microsoft Power Platform ライセンス ガイド(2025年05月版)
Power Apps の価格
Power Automate の価格
Power BI の価格
Power Pages の価格
Microsoft Power Platform のライセンスの概要
Power Apps のライセンスに関するよくあるご質問
Power Automate のライセンスに関するよくあるご質問
AI Builder ライセンスとクレジットの管理
Dataverse と、財務と運用アプリのストレージ管理
テナントに Microsoft Dataverse 容量を追加

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